kimuraf021202 「地方自治論」ノート報告
「東京都環状七号線内側におけるロードプライシング制度導入の現状と課題」 k010119 木村文佳
1.
ロードプライシングの目的
現在、東京における自動車交通渋滞は慢性化し、東京の都市活動に約5兆円とも試算される大きな経済損失を与えるだけでなく、自動車排出ガスは人体だけでなく、地球環境にも影響を及ぼす。
ロードプライシングは、このような自動車交通がもたらす問題を改善することができる制度で、特定の道路や地域、時間帯における自動車利用者に対して課金をおこなう。この課金により自動車交通量の抑制と環境の改善を図ることが期待される。現に、海外の事例として、シンガポール、ロンドン、ノルウェーのオスロなどではロードプライシングが実施されている。
2. 実施案
(1)対象区域
基本的に、ロードプライシングは渋滞緩和と大気環境の改善を目的としているので、対象区域は自動車交通の集中密度が高い地域又は自動車からの窒素酸化物排出密度が高い地域とすることが適当である。このような基本的は考え方から、
@
A@にさらに
BAにさらに
CBにさらに
(2)対象車種
除外対象車を除く全ての自動車
除外対象車 @道路交通法で定める緊急要務に使用する自動車。消防車、救急車、警察用自動車など。
A公共交通機関である路線バス。
B下肢機能に障害を持つ者が運転する自動車。なお、この場合以外の障害を持つ者の移動に必要な自動車については課金額の割引を検討中。
C自動二輪車。他の自動車に比べ渋滞、大気汚染への影響が少ないため。
D対象区域を通過する首都高速道路走行自動車。
(3)課金額
小型車400円〜600円 大型車800円〜1200円
この金額は、具体的目標を設定して、その達成に必要な初期課金額を設定し、この初期課金額について、社会的、経済的な妥当性や受容性に考慮した修正を行い、なお検討中である。
(4)課金時期
年間を通して平日(月曜〜金曜)の午前7時〜午後7時
自動車交通の調査の結果、午前7時頃〜午後7時頃までの間に交通量が多く、また、月別交通量は年間を通してほぼ一定しているから。
(5)課金方式
課金方式には一定の区域内に進入する自動車に課金するコードン方式や、一定の区域内を走行するエリア方式などがある。エリア方式は対象区域が広いほど効果が期待され、コードン方式は区域境界線上に課金するためのチェックポイントを設ければよいので、実現性やコストの面で優れているので、今回はコードン方式を採用することになった。
(6)課金システム
導入可能な課金システムとして、入域証方式、カメラ方式、DSRC(電波、光)方式、電子ナンバープレート方式、GPS方式、PHS方式が考えられる。これらの各方式のうち、早期導入が可能で、法制度の設備が不要な課金システムを検討した結果、入域証方式か、カメラ方式が妥当であると考えられ、最初の段階ではこの何れかの方式が採用される。
(7)課金徴収
課金の徴収は、@入域する前に課金を納入する事前納入方式、A入域する前に支払手段(銀行口座引き落とし等)を登録する事前登録方式、B個々の自動車の通行認識から被課金者を特定し、事後徴収する事後徴収方式が挙げられるが、Bは入域する者には事前の手続きが生じないため、支払いの動機付けが不十分となる。よって、@,Aの何れかが採用されることとなる。